日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢捻転症の4例
今村 宏輝岸本 朋也橋本 安司遠藤 俊治田村 茂行佐々木 洋
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2020 年 81 巻 5 号 p. 959-964

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抄録

胆嚢捻転症は,頻度は非常に少ないが緊急手術を要する疾患である.当院では2012年から2019年に4例の胆嚢捻転症を経験した.症例1:88歳,女性.胸背部痛を主訴に当院を受診.胆嚢捻転症の診断で同日腹腔鏡下胆嚢摘出術(laparoscopic cholecystectomy:以下LCと略)を施行.症例2:90歳,女性.右下腹部痛を主訴に当院を受診.胆嚢捻転症の診断で同日LCを施行.症例3:83歳,女性.腹痛を主訴に当院を受診.急性胆嚢炎の術前診断で同日LCを施行.術中所見にて胆嚢捻転症の診断となった.症例4:47歳,男性.心窩部痛を主訴に当院を受診.胆嚢捻転症の診断で同日LCを施行した.今回,われわれが経験した胆嚢捻転症4例に本邦での報告216例も加えて検討すると,胆嚢捻転症に対するLCの割合およびその術前正診率は直近10年間(2010~2019年)で57.7%および70%であり,CTにて特徴的な所見を追求することで術前正診率を上昇させることができると考えられた.

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