日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
二次・三次治療でオラパリブの著効をみたHER2陰性再発乳癌の2例
金 敬徳上野 彩子髙松 友里伊藤 充矢川崎 賢祐大谷 彰一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 81 巻 8 号 p. 1497-1501

詳細
抄録

オラパリブは2018年に本邦で承認されたが,適格症例が多くはないため,その症例報告はいまだ少ない.当院で著効している2例について報告する.症例①:44歳,女性.右乳癌 T2N2aM0 stage IIIA,luminal typeで,術後2年で肺転移にて再発した.ホルモン療法,経口抗癌剤を施行後,BRCA2変異を認め,三次治療としてオラパリブを投与し,8カ月間PRを維持している.症例②:69歳,女性.両側乳癌術後で,左はT2N0M0 stage II A,luminal typeであった(右詳細不明).術後13年4カ月で腹部傍大動脈リンパ節(生検でtriple negative type),右卵巣,腹膜転移にて再発した.経口抗癌剤を施行後BRCA1変異を認め,二次治療としてオラパリブを投与し,4カ月間PRを維持している.本症例2例ともOlympiAD試験と同様にearly lineでオラパリブを投与し,良好な腫瘍縮小効果を示している.

著者関連情報
© 2020 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top