日本臨床外科学会雑誌
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症例
ICG蛍光法が有用であった胆管と交通を有する15cm径肝嚢胞自然破裂の1例
坂下 克也澤田 隆吾三浦 光太郎高橋 諒文元 雄一雪本 清隆
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2020 年 81 巻 8 号 p. 1592-1596

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抄録

近年新しい術中胆道造影法として,インドシアニングリーン(indocyanine green;以下ICG)蛍光法の有用性が報告されている.今回われわれは胆管と交通を有する巨大肝嚢胞自然破裂による腹膜炎症例に対し,ICG蛍光法が有用であった腹腔鏡下肝嚢胞天蓋切除術(laparoscopic deroofing;以下LD)の1例を経験したので報告する.

症例は89歳の女性,突然の右季肋部痛のため当科に紹介受診となった.腹部単純CTで肝右葉に15cm径の肝嚢胞とともに下腹部に液体の貯留を認めた.Drip infusion CT cholangiography(以下DIC-CT)では嚢胞内への胆汁漏出を認めた.腹部打撲の既往がないため,肝嚢胞自然破裂による胆汁性腹膜炎と診断し,緊急的にLDを施行した.ICG蛍光法を用いて肝嚢胞底部の胆汁漏出部を同定しえたので,鏡視下に縫合閉鎖した.術後胆汁漏の合併は見られず,術後13日目に退院となった.

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