日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
ICG蛍光法で血流評価し残膵非再建脾動脈合切膵頭十二指腸切除した膵癌の1例
秋谷 雅之松木 亮太小暮 正晴鈴木 裕森 俊幸阪本 良弘
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 81 巻 8 号 p. 1611-1615

詳細
抄録

脾動脈周囲に高度炎症を認める膵頭体部癌に対し,脾動脈合併切除を伴う膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy with splenic artery resection: PD-SAR)を行った.Indocyanine green(ICG)蛍光法を用いた脾臓と残膵の血流評価を行うと,脾臓の発光は良好であったが,残膵は断端より1cmの範囲で発光が不良であった.膵空腸吻合に伴う重大な膵液瘻を回避するために,残膵は非再建で縫合閉鎖した.術後の脾梗塞や膵液瘻を認めず,血糖コントロールも良好に経過した.PD-SARにおける残膵および脾臓の血流評価に,術中ICG蛍光法は有用と考える.

著者関連情報
© 2020 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top