日本臨床外科学会雑誌
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症例
初回治療から43年を経て前縦隔に孤立性転移をきたした卵巣癌の1例
林 浩三諸星 直輝川原 洋一郎松毛 眞一細川 誉至雄
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キーワード: 縦隔転移, 結腸転移, 卵巣癌
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2020 年 81 巻 8 号 p. 1643-1647

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抄録

症例は66歳,女性.自己免疫性肝炎により他院に通院中であった.既往歴として,23歳時に卵巣腫瘍にて左卵巣摘出術と右卵巣部分切除術を受けている.また,卵巣手術から40年経過した時点で,卵巣癌を原発とする転移性S状結腸腫瘍に対して結腸切除術を受けており,その術後観察中のところ,胸部CTにて前縦隔に新規の結節性病変を指摘されたため当科へ紹介となった.有効な術前診断の方法がなく,治療と診断を兼ねて前胸壁合併切除を伴う腫瘍切除術を施行した.病理組織診断は先のS状結腸腫瘍と同様,卵巣癌(漿液性癌)であった.術後化学療法を行い,10年経過して無再発生存中である.卵巣癌の初回手術から40年以上を経過して,S状結腸および前縦隔へ異時性に孤立性遠隔転移の形式で再発した稀な症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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© 2020 日本臨床外科学会
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