日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
血尿と石灰化を伴った7歳女児後腹膜脂肪腫の1例
布施 喜信生沼 利倫黒部 仁
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 81 巻 8 号 p. 1654-1659

詳細
抄録

症例は7歳の女児.学校検診で血尿を指摘,腎臓疾患が疑われ当院小児科を紹介受診した.腹部超音波検査で左側腹部腫瘤を認め,当科受診となった.腹部CT・MRIでは,腹部左側全体を占める最大径14cm大の境界明瞭な腫瘤を認め,内部は均一なhigh densityの脂肪成分で一部石灰化を伴っていた.奇形腫との鑑別が必要であったが,脂肪腫を最も疑い外科的切除の方針となった.腫瘤の他臓器への直接浸潤はなく,周囲組織との癒着を剥離し,摘出した.病理組織診断で脂肪腫と診断され,石灰化部は脂肪壊死と判明した.術後4年,無再発経過観察中である.小児の後腹膜脂肪腫は稀な疾患であり,小児における血尿を契機に発見された報告や石灰化を伴った症例の報告は過去になく,文献的考察を含めて報告する.

著者関連情報
© 2020 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top