日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
急性胃拡張による胃壊死をきたした上腸間膜動脈症候群の1例
山名 浩樹飯田 聡齋藤 賢将二瓶 健太郎山崎 繁
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 82 巻 1 号 p. 66-71

詳細
抄録

症例は37歳の男性で,特記すべき既往歴はない.暴飲・暴食をした翌日に腹痛・嘔吐の症状が出現し,3日後に近医を受診し急性腹症の疑いで当院に紹介となった.身体所見では,腹部は著明に膨満し右上腹部に筋性防御を認めた.腹部CTでは胃から十二指腸水平脚までが著明に拡張し十二指腸壁内気腫を認め,上腸間膜動脈症候群による急性胃拡張・十二指腸壊死と診断し緊急手術を行った.開腹すると,十二指腸には炎症所見を認めたが壊死所見はなく,胃体上部前壁に径5cmの壊死部を認めたため胃全摘術を施行した.術後の経過は良好で,術後17日目に退院となった.上腸間膜動脈症候群は急性胃拡張による胃壊死をきたすことがある.診断は困難なため,強い腹痛を伴う急性胃拡張は緊急手術を考慮する,または慎重な経過観察を要する.

著者関連情報
© 2021 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top