日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下胃全摘術後早期に発症した食道裂孔部嵌頓ヘルニアの1例
長谷川 健太長谷川 毅櫻井 克宣久保 尚士井上 透西口 幸雄
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2023 年 84 巻 11 号 p. 1731-1736

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抄録

79歳,男性.胃体上部後壁の3型進行胃癌に対して腹腔鏡下胃全摘術を施行した.食道周囲の剥離時に左背側の胸膜に10mm大の損傷を生じたが修復は行わなかった.術後3日目に酸素化低下,腹痛の増強を認め,胸部X線・胸腹部CTで小腸の胸腔内への脱出像を認め,食道裂孔ヘルニア嵌頓と診断した.画像上,Y脚吻合部を含む挙上空腸が大きく嵌入しており,緊急開腹手術を施行した.食道裂孔左側より挙上空腸が胸腔内へ嵌入し嵌頓しており,左側の横隔膜を鋭的に切開し嵌入腸管を腹腔内に還納した.腸管壊死は認めず,切開した横隔膜と食道裂孔を縫縮し,食道空腸吻合部を食道裂孔前壁,横隔膜閉鎖部に縫合固定し,手術を終了した.術後に食道空腸吻合部の縫合不全を認めたが,保存的加療で軽快し,再手術後54日目に退院した.術後1年の現在,胃癌・食道裂孔ヘルニアともに再発は認めていない.術中胸膜損傷が疑われた場合は,修復や腸管固定の追加を考慮すべきである.

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