2024 年 85 巻 12 号 p. 1661-1665
乳腺原発腺様囊胞癌は全乳癌の0.1%程度とされ,リンパ節転移や遠隔転移は非常に稀な組織型である.極めて予後良好とされながら,転移・再発例の報告も散見される.今回,術後5年で肺転移を切除,術後10年で新たな肺結節が出現するも,経過観察のみで長期生存が得られている乳腺原発腺様囊胞癌の1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は69歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に前医を受診.精査の結果,右乳癌(腺様囊胞癌),cT2N0M0 cStage IIA,トリプルネガティブと診断した.乳房全切除術+腋窩リンパ節郭清(level I)ののち,術後補助化学療法を行った.術後5年で右肺上葉に結節が出現し,当院呼吸器外科を紹介受診.診断と治療を兼ね肺区域切除を施行,乳腺腺様囊胞癌・肺転移と診断された.当科で無治療経過観察中,術後10年に新規肺結節が出現したが,経過観察のみで増大なく,他臓器転移も認めていない.