2024 年 85 巻 12 号 p. 1713-1721
肝原発の類上皮血管内皮腫(epithelioid hemangioendothelioma)は肝悪性腫瘍全体の0.1%以下の非常に稀な疾患であり,非特異的な画像所見と腫瘍生検の正診率の低さから,術前診断が困難な疾患である.今回われわれは2012年から2021年までに,当科で切除した3例の術前診断や治療に関して検討した.
症例1は腫瘍生検で肝内胆管癌の術前診断となり,肝右三区域切除術を施行した.術後の組織学的所見で肝類上皮血管内皮腫の診断となった.症例2は臨床経過と画像所見から術前に肝類上皮血管内皮腫と診断し,肝部分切除を施行した.術後の組織学的所見で肝類上皮血管内皮腫の確定診断に至った.症例3は画像所見から肝類上皮血管内皮腫および同時性肺転移を疑った.
腫瘍生検を施行し,類上皮血管内皮腫の診断とし,肝部分切除を施行した.
肝類上皮血管内皮腫は術前診断が困難と言われているが,臨床経過や画像所見から肝類上皮血管内皮腫を鑑別診断に挙げ,治療戦略を練ることが非常に重要であると考える.