2024 年 85 巻 2 号 p. 284-288
症例は72歳,女性.左下腹部痛と左臀部痛を主訴に救急外来を受診した.CTでは左大坐骨孔から骨盤外へ脱出する小腸を認め,左坐骨ヘルニアと診断した.嵌頓を疑う所見は認めず,血液検査でも異常所見は認めなかった.診察後,疼痛は自然軽快したが,今後も疼痛を繰り返す可能性を考慮し,待機的に腹腔鏡による修復術を施行した.腹腔鏡下に骨盤内を観察すると,左大坐骨孔に約3cm大のヘルニア門を認めた.左坐骨ヘルニア以外にも両側の大腿ヘルニアおよび閉鎖孔ヘルニアを認めた.嵌頓の危険性を考慮し,これらを全て修復する方針とした.腹膜を切開・剥離し,左坐骨ヘルニアはヘルニア孔にプラグを充填して修復を行った.大腿ヘルニアおよび閉鎖孔ヘルニアはメッシュを被覆して修復した.術後経過は良好で,第7病日に退院となった.現在まで再発なく経過している.坐骨ヘルニアの修復において腹腔鏡によるアプローチは有用であると考えられた.