全日本鍼灸学会雑誌
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臨床体験レポート
皮膚科の標準治療に中医弁証による鍼灸治療を併用したアトピー性皮膚炎の1症例
坂口 俊二井原 奈都子
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2007 年 57 巻 1 号 p. 16-24

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抄録

アトピー性皮膚炎にて外用剤で治療中の20歳男性に対し、中医学に基づく鍼灸治療を併用した例を報告する。
症例を四診情報より肝脾不和証とし、疏肝健脾を目的に鍼と皮疹部への棒灸を合わせて、概ね週1回の間隔で8回の治療を行った。
評価は、〓痒を評価する日誌に、Visual Analogue Scale (VAS) を追加した変法を用い、アレルギー反応の指標として白血球数、好酸球数、IgE値などを用いた。
〓痒の治療前後の平均VAS値 (mm) は、手指34→24、膝窩部22→9、背中67→31にそれぞれ減少し、また腸鳴などの随伴症状も消失した。血液所見は白血球数 (/μl) 6,100→4,300、好酸球数 (%) 4.6→1.9に変化したが、IgE値は変化しなかった。
皮膚科の標準治療に鍼灸治療を併用した結果、〓痒感や随伴症状の軽減がみられ、本疾患に対する鍼灸治療併用の有効性が示唆された。

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© 2007 社団法人 全日本鍼灸学会
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