全日本鍼灸学会雑誌
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特別講演
癌と神経・免疫
岩垣 博巳
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2007 年 57 巻 5 号 p. 613-620

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抄録

担癌悪液質モデルマウスを用いて、脳内モノアミン神経活動、末梢ヒスタミン代謝、消化管セロトニン代謝について解析した。非担癌マウスに比し、悪液質マウスの脳内モノアミン代謝は、ドーパミンについては低下、セロトニン、ヒスタミンについては有意に増加し、それぞれ、運動量の低下、うつ的傾向、食欲不振に関与していることが示唆される。また、癌悪液質マウスでは、非肥満細胞におけるヒスチジン脱炭酸酵素が強く誘導されており、この結果、招来される末梢組織におけるヒスタミン代謝の亢進は、癌悪液質状態における交感神経の過緊張とともに、細胞性免疫の抑制を助長するものと考えられる。悪液質マウスの消化管において好クロム親和性細胞数の増加、並びに、セロトニン合成酵素活性の増加に伴うセロトニン含量の有意の増加が認められ、このことが求心性腹部迷走神経を活性化させ、癌悪液質にみられる嘔吐・悪心という臨床症状を引き起こすものと推定される。

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© 2007 社団法人 全日本鍼灸学会
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