全日本鍼灸学会雑誌
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教育講演
スポーツと免疫
雨貝 孝
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2008 年 58 巻 1 号 p. 13-31

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抄録
 日常的なスポーツ:運動はその生理的効果としての循環系の活性化、 代謝系の活性化、 ストレスの解消を通して、 免疫系に対して(1)バリアーシステムの強化、 (2)防御系細胞の増加、 (3)細胞移動能力の亢進、 (4)サイトカイン産生能の亢進などにより増強効果を示す。 その結果として、 スポーツの感染症予防効果、 体質改善効果、 老化に伴う免疫低下の改善が示されている。 他方、 強度の運動ことにオーバー・トレーニングの免疫系への急性障害として、 過度の運動や無酸素運動がストレスとなり視床下部―下垂体―副腎軸の活性化にともなう副腎皮質ホルモンの効果として免疫抑制作用を示すこと、 運動に伴う組織障害による炎症性サイトカインの産生により急性炎症が起こること、 局所での疲労に伴う障害因子による粘膜等のバリアーシステムへの障害などがある。 体調に合った適度の運動の持続が免疫系にもプラスの効果を示すといえよう。
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© 2008 社団法人 全日本鍼灸学会
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