全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
Print ISSN : 0285-9955
ISSN-L : 0285-9955
原著
迷路性耳鳴に対する"中西医結合診療"の臨床研究
鍼治療の有用性について
呉 孟達Huang LAWRENCE C-L
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 58 巻 4 号 p. 626-641

詳細
抄録

今回われわれは西洋医学的に"迷路性耳鳴"と診断された65例の耳鳴症例に対して、 中医学的虚実弁証の理論を導入することによって、 新たに耳鳴を三つの、 西洋医学と中医学両方法論を加味した類型、 すなわち実証型迷路性耳鳴、 虚証型迷路性耳鳴および中間証型迷路性耳鳴に分類した。 次いで、 これらのそれぞれの病態証候に応じて、 中医学的"治病求本"の原則に基づき、 鍼治療を行った。
 耳鳴治療効果の判定は主に治療前後の自覚的な 「耳鳴表現スコア」 と他覚的な 「耳鳴ラウドネス」 という二つの耳鳴パラメータの変化を用いて比較検討した。 治療後の 「耳鳴表現スコア」 もしくは 「耳鳴ラウドネス」 が有効を示した65症例全体の「粗有効率 (GER)」は72.3%、 両者がともに有効を示した 「自他覚的有効率 (BER)」、 つまりより厳密な有効率としては47.7%であった。 三つの中医学的病証型のうち、 実証型の有効率が最も高く、 そのBERは66.7%を示していた。 次は虚証型で、 そのBERは48.7%であった。 中間証型は最も悪く、 そのBERはわずか10%であった。 各病証型のBERに対し、 相互間の統計学的有意差はなかった。
 一方、 治療終了2ヶ月後の効果判定では、 全体のGERは55.4%、 BERは38.5%にまで低下し、 治療効果の減少傾向が見られた。 特に虚証型のGERは統計学的有意な低下を示した。
 結論として迷路性耳鳴に対する鍼治療を行うにあたって、 中医学的虚実弁証論の応用は大変重要であると考えられる。 65症例の臨床治療分析を通して、 虚証型や中間証型に比べて、 実証型耳鳴は鍼治療に最も高い反応を示すことが判明した。

著者関連情報
© 2008 社団法人 全日本鍼灸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top