全日本鍼灸学会雑誌
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教育講演
皮膚感覚-皮膚と心の身体心理学
山口 創
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2008 年 58 巻 5 号 p. 732-741

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抄録

本稿では第1に、 身体心理学の立場から、 自己と環境との境界としての皮膚感覚について論じられた。
 第2に、 身体接触が心に与える影響に関する実験について紹介した。実験では、 触れる側、 触れられる側、 自己接触の3群の不安低減効果について検討した結果、触れられる側にのみ心理的変化があることを紹介した。 次いで幼少期の両親との身体接触は、 成人後にも対人関係に影響を与えている事実を紹介し、 皮膚自体が記憶をもつ可能性について示唆し最後に、 鍼灸治療における皮膚の機能や役割について論じた。鍼灸は皮膚へ介入する治療であり、 それが内臓や筋肉などに変化を及ぼし、 さらにその変化が皮膚に反映される。 つまり皮膚は入力と出力の界面である。 そのような視点から皮膚を観ることや、 皮膚に直接接触することの重要性について論じた。

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© 2008 社団法人 全日本鍼灸学会
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