全日本鍼灸学会雑誌
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原著
OSCE評価の一致性と模擬患者における評価に関する検討
森戸 麻美原 早苗梅田 伸威野元 和夫高崎 正彦
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2009 年 59 巻 1 号 p. 22-29

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抄録

 平成16年から平成17年にかけて行ったOSCE評価者間における一致率の比較について検討するとともに医療面接とはり実技における評価者とSPの評価の関連についても検討した。 対象者は、 平成16年度 (以下第1回トライアル)、 17年度 (以下第2回トライアル) にOSCEを受けた3年生で、 学生数はそれぞれ13名と32名である。 第1回および第2回トライアルでは4つのステーションを設定し、 課題は医療面接、 身体診察、 はり実技、 きゅう実技を行った。 第1回トライアルと第2回トライアルにおいて、 ステーション別に一致率を比較したところ、 身体診察・はり実技の評価者の一致率で有意な改善が認められた。 評価者とSP評価の関係については、 医療面接評価者とSPの評価に相関が認められ、 はり実技において評価者とSPの評価に相関は認められなかった。 一致率の改善した理由として一致率の低かった評価項目を改定し、 その項目の明確化、 細分化を行い、 また、 評価者間での評価項目の事前打ち合わせの回数を増やし、 模擬トライアルを行うことで、 マニュアルの解釈の統一性を持たせたことが原因と思われる。 評価者とSP評価の関係については、 それぞれにSP評価を評価に取り入れることは意義があることだが、 SP評価を試験の成績に取り入れるためにはSPの評価に統一性を持たせることが必要と思われる。

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© 2009 社団法人 全日本鍼灸学会
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