2010 年 60 巻 1 号 p. 48-53
【目的】皮膚への軽微な突起押圧刺激が近傍部ヘモグロビン動態に及ぼす影響を検討した。
【方法】対象は健康成人10名とした。 測定は近赤外線分光法を用いて、 両側前腕の酸化ヘモグロビン、 総ヘモグロビンを測定し、 刺激前後で比較した。 刺激は右前腕に突起付きのテープを貼付した。 左前腕部には対照としてテープのみを貼付した。
【結果】突起押圧刺激を行った右前腕部では、 刺激前と比べて刺激後10分において酸化ヘモグロビンの有意な増加 (P<0.05) を認めた。 しかし、 テープのみを貼付した左前腕部には有意差を認めなかった。 総ヘモグロビンの動態においては左右ともに有意差を認めなかった。
【結論】酸化ヘモグロビンの動態が突起押圧刺激により増加したことについては、 軸索反射により末梢血管が拡張し、 血流 (血液量) が増加したものと考えられる。 長期間の貼付した場合更なる効果の増大が見込まれ、 局所循環の改善に有効であることが示唆された。