鍼灸臨床におけるインシデントの掌握と医療事故防止のための取り組みの一環として、 明治国際医療大学附属鍼灸センターにおいてインシデントレポートシステム (IRS-M) を構築した。 インシデントレポートは同スタッフを報告者として、 インシデントに遭遇した日 (または発見した日) にレポートを提出することとした。 事例は月1回各項目別に集計し、 事例内容のフィードバックは同センター朝礼で定期的に口頭にて伝達し、 同時にポスター掲示を行った。 2004年7月から2005年9月までの総報告事例は146例で、 その内訳は 「治療環境96例」、 「治療前0例」、 「治療中・治療後50例」 であった。 治療環境では《不適切な鍼灸施術道具の処理66例》、 治療中・治療後では《鍼を抜き忘れそうになった12例》が最多であった。 1ヶ月に平均10事例が起こっていたが、 事例内容は鍼灸師自身が留意すれば防げるものがほとんどであり、 事故防止のためには教員や学生に情報を継続的にフィードバックし、 注意を促すことが重要と考えられた。