全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
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原著
VDT作業者に対する鍼治療効果(2)
QOLと作業能力に及ぼす影響
菊池 友和山口 智五十嵐 久佳小俣 浩鈴木 真理田中 晃一磯部 秀之三村 俊英
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キーワード: VDT, QOL, 作業能力, 鍼治療, 円皮鍼
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2011 年 61 巻 1 号 p. 51-58

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抄録

【はじめに】本邦でVDT作業者のQOLや作業能力を指標とした鍼治療に関する報告は極めて少ない。 そこで、 この前向き研究では鍼治療がVDT作業者のQOLと作業能力に及ぼす影響について検討した。
【方法】VDT作業者61例、 男性41例、 女性20例である。 鍼治療は1回/週、 個々の頸や肩の症状に応じて行った。 評価はSF-36とWAIを、 初診時と1ヵ月後の値を統計学的に検討した。
【結果】VDT作業者のSF-36は、 身体的健康度、 精神的健康度、 体の痛み、 日常役割機能 (身体) が上昇し、 活力も上昇する傾向が認められWAIも上昇した。 治療前のSF-36の各項目とWAI値、 さらに鍼治療後における体の痛みとWAI値の改善率に正の相関関係が認められた。
【結論】鍼治療によりVDT作業者の有する頸肩こりの症状が改善するとともに、 QOLと作業能力が向上した。 今後増加が予想されるVDT作業者のQOLや作業能力の向上に対し、 鍼治療の有用性が高いことが示唆された。

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© 2011 社団法人 全日本鍼灸学会
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