1983 年 33 巻 1 号 p. 33-41
われわれは, 経絡敏感者 (57歳, 主婦, 外傷性頸部症候群) というべき著明な経絡現象を呈する一患者に遭遇した。
この患者について, 長浜善夫, 丸山昌朗および中国の方法を参考に, 経絡現象のひとつである循経感伝現象を, 井穴 (12正経) と奇経の任意の経穴に〓鍼を押圧し刺激を与える方法で調査した。
その結果, 循経感伝現象と古典的経絡の符合率 (一致率) において, ほとんどこの両者が一致した経絡は, 小腸経, 督脈, 衝脈および帯脈で, 全経絡 (20経) の20%であった。部分的に一致した経絡は全経絡の55%であった。一致しなかった経絡は, 脾経, 心経, 心包経, 肝経および任脈で, 25%であった。