目的: 皮膚の二点融合距離から融合野を求めた。この融合野は鍼刺激によってはなはだしく拡大する。この拡大効果を中枢神経機序の立場から明らかにした。
方法: 二点融合距離は触あるいは圧の二点刺激を一点と感ずる最大の二点間距離で求め, 縦軸と横軸の測定から融合野を作図してその面積を算出した。
結果及び結論: 融合野は触よりも圧覚刺激で面積が小さく再現性も高い。上肢の二点融合野の形は長方形に近く, 上肢の末梢部ほど面積が小さくなる。鍼刺激によって融合野は拡大する。これは鍼刺激による求心性神経のインパルスによって, 中枢への伝導系内の側方抑制機構が作動しなくなった結果と考えられる。