1985 年 35 巻 3-4 号 p. 196-199
突発性難聴は, 原因が明確でないものが多く, そのため患者の受ける苦痛は長期間にわたっている。耳鼻科領域でも各種の治療法が行われているにもかかわらず, 治療成績は低く, 鍼治療においても, 十分な効果が期待できないと言われている。今回, われわれが行った鍼治療では, 14症例中, 著効14%, 有効14%, 有効28%, やや有効36%, 無効21%で有効率78%であった。特に, オージオグラムの変化を検討すると, 初診時から2週間以内の聴力の変化が, 予後を判断する一つの材料になることを示唆しているように思われる