全日本鍼灸学会雑誌
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不定愁訴に対する鍼治療の検討
石神 龍代皆川 宗徳狩野 義広黒野 保三
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1996 年 46 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

不定愁訴に対する鍼治療の有効性を客観的に証明する目的で, (社) 全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴カルテを使用し, 平成3年9月から平成6年6月までに東洋医学研究所®に来院した不定愁訴を有する78名の患者に対し, 3ヵ月間にわたり, 毎日あるいは隔日に21回の鍼治療を施し, 不定愁訴指数の平均点数の推移を Student の paired-t-test で検定した結果, 全体の78例では危険率0.1%以下となり, 重症度別の軽症25例では危険率1%以下, 中等症34例では危険率0.1%以下, 重症19例では危険率1%以下となり, また, 自律神経失調性項目, 神経症性項目, うつ状態性項目, その他の項目の各層別においてもそれぞれ危険率0.1%以下となり, いずれにおいても有意に減少していることが認められ, 鍼治療の有効性が統計学的に確かめられた。
重症度別の効果を種々比較検討したところ, 中等症においてより効果が著明であった。

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