抄録
馬尾性間欠跛行に対する陰部神経鍼通電療法の効果について検討した。また、その機序を調べる目的でラットの陰部神経を電気刺激した時の坐骨神経血流の反応と薬物投与の影響について併せて検討した。その結果、陰部神経鍼通電療法により4例全例に歩行距離の延長が確認された。その内一例は継続的な侠脊穴への鍼治療では歩行距離の延長は得られなかった。ラットの陰部神経電気刺激では、刺激中の坐骨神経血流の増加が確認された。この増加反応はアトロピンの投与により消失した。これらの結果から、陰部神経鍼通電療法は馬尾性間欠跛行に対して有効な一手段となる可能性が考えられた。また、その機序として陰部神経電気刺激が馬尾を含めた坐骨神経に対して血管拡張性に作用した可能性が示唆された。