鍼の合併症のうち感染は今後一段と重要度を増して行くと思われる。しかし汚染のない所に感染は起こり得ない。その見地から汚染予防のありかたについて考察を加えた。
汚染には皮膚の消毒不完全によるものと、鍼の取扱い不備による鍼体の汚れによるものが考えられる。前者には術野の清拭不備と種々の不適切な消毒操作があり、後者は主としてなんらかの原因で細菌学的に不潔なものに鍼体が接触して生ずる汚染である。これには鍼管を介する汚染・押し手や鍼の送り込み操作による汚染・鍼ケース内での汚染など、従来あまり問題視されなかったことも考慮する必要があると思われるので検討を加えた。
筆者は刺鍼の際、体内に入る鍼体部分に指が全く触れないようにしている。従って鍼体の汚染が起こることはなく感染の危険は避けられるので、その方法を紹介した。