全日本鍼灸学会雑誌
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施灸の周辺部の表層と深部組織における血流動態への影響
5壮施灸と7壮施灸の比較
田和 宗徳北小路 博司坂井 友実矢野 忠
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キーワード: , 血行動態, 深部組織
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2005 年 55 巻 4 号 p. 538-548

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抄録

【目的】施灸壮数の違いによる灸刺激の施灸周辺部への効果を皮膚血流量と深部組織の血液量を指標に観察し, 灸の壮数の周辺部への影響の程度ついて検討した。
【方法】年齢25~28才の健常成人男子9名 (平均年齢25.4才) を対象とした。皮膚血流はレーザードップラー血流計を用い, 深部組織 (皮下深層及び筋肉層) の血液量の変化は近赤外分光計を用い, それぞれのプローブを施灸部位 (上巨虚) より20mm離れた部位に装着した。実験は日を変えてコントロール (無刺激), 5壮 (1壮2mg), 7壮刺激を行った。以上の条件にてコントロール群では25分間の無刺激の測定と灸刺激群では施灸前5分間と直後から20分までの間での測定を行い記録した。
【結果と考察】皮膚血流は5壮施灸よりも7壮施灸の方が増加傾向を認めた。この施灸による皮膚血流量の影響は, 施灸壮数の増加によって強いフレアー現象が発現したものと考えられ, また, 深部組織への影響は, むしろ血液量が減少する傾向を示す結果となった。この点に関しては, 推測の域をでない幾つかの可能性について今後さらなる詳細な検討が必要であると考える。

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