全日本鍼灸学会雑誌
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「私の活躍の場は?」
鍼灸師急増の時代をむかえて
小川 卓良形井 秀一坂井 友実伊藤 公代小山 進木村 研一岡田 安代原口 明子公文 絵美子
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2005 年 55 巻 5 号 p. 670-683

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抄録

鍼灸師急増時代を迎えて、鍼灸師の活躍の場が狭くなりつつある。このような時に職域を拡大すべく、それぞれの分野で活躍している鍼灸師により現状と将来性、必要な要件、活躍の場を拡大するためにはいかにするか、などを検討する目的で本シンポジウムが開催された。司会により鍼灸師急増の実態、卒業生の就職動向、医道の日本誌アンケートからの業態の変化などが報告された。病院勤務の経験があるパネリストは病医院内における鍼灸の果たす役割と特徴、医師、看護師など医療スタッフとの関り方、そして鍼灸師として身につけておかなければならないこと及び将来展望などを報告した。鍼灸学校卒業後、有益な鍼灸師の研修機関がないことからやむを得ず往診開業を行い、その後店舗開業に踏み切ったパネリストは、往診開業では知名度がなく苦労し、TV局への売り込みや印象に残るような努力を重ねて店舗開業に至った経験のついて述べ、今後は学術面と臨床面の知識技術の修練が必要と報告した。開業の差別化としてスポーツ鍼灸に取り込むパネリストは、スポーツ鍼灸を行うことのメリットとその備えるべき要件としてスポーツ鍼灸とアスレティックリハビリテーションの知識と技術を身につけ臨床実践できることが必須であると報告した。大学教員の道を歩んだパネリストは、今後は高い教育目標と全学的なFD活動が必須であり、個人としては教育能力向上と研究活動を通じて鍼灸の社会的需要の喚起、職域の拡大のためには時代の趨勢に関わらず、人材となる優秀な鍼灸師の育成が重要と報告した。その他、学校卒業2年目の病院勤務鍼灸師、母親になった鍼灸学校2年生、教員養成施設の学生などが、将来への不安や夢などを発言した。

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