全日本鍼灸学会雑誌
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現代中医鍼灸学の形成に与えた日本の貢献
真柳 誠
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2006 年 56 巻 4 号 p. 605-615

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抄録

日本は中国で失われた多くの佚存古医籍や善本を保存し、現代に伝えている。それらに基づき江戸末期まで高度な古典研究がなされ、明治以降は近代医学を導入して鍼灸の研究と教育方法が体系化されてきた。一方、鍼灸療法は清朝後期に廃絶政策が実施され、中国の鍼灸は中華民国初期にほとんど壊滅状態にいたっていた。さらに民国政府は中国医学を廃止しようとした。しかし中国伝統医師達は日本の研究成果も援用した反対運動を行い、中国医学は存続された。また承淡安が日本から導入した鍼灸医学と教育方法は、新中国以降に中国鍼灸学が復興する礎となった。このような背景により形成された新たな中国医学が、いま日本に再び渡来している。過去の歴史は今後の歴史に連なるのである。

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