2005 年 25 巻 7 号 p. 603-607
術前診察は麻酔科周術期管理の第一歩である. 術前診察を受ける患者は, 患者の医学的問題点や手術・麻酔の危険度をわかりやすい言葉で, 誠実な態度で麻酔専門医から説明してもらいたい, 最適の術前処置を行ってもらいたい, 危機に面したときには最善の対応をすることを約束してもらいたいと願っている. 今日のように個々の患者の価値観や期待に適合する医療サービスが求められる状況下では, 医療者側に都合のよいシステムではなく, 現状の要望に応えるために術前診察のあり方や術前評価法の再構築が必要となってきた. 手術侵襲下の生体防御医学専門医としてリーダーシップを発揮すべき立場にある麻酔科医は, 個々の患者の期待や要望に適合する新たな術前診察システムを, 各施設の状況に合わせて構築することが重要であると考える.