2006 年 26 巻 7 号 p. 703-705
27歳, 女性. 顎関節症に対し関節鏡視下剥離授動術を予定した. 麻酔は経鼻挿管・全身麻酔で行い, 50mlシリンジで乳酸リンゲル液を用手的に関節内に灌流し, 剥離操作を行った. 手術直後に顔面から頸部にかけて著明な腫脹を認め, 灌流液の漏出による上気道浮腫と判断し抜管を延期した. 利尿薬を投与し, 集中治療室に搬入したが, 3時間後には腫脹が消失し抜管した. 関節鏡視下手術は, 低侵襲とされ外来で行われる場合もあるが, 特に灌流液の加圧を伴う手術では上気道浮腫の可能性があり, 術中管理に注意が必要である.