2007 年 27 巻 2 号 p. 176-181
待機的胃癌手術に持続硬膜外麻酔併用全身麻酔を行ったところ, 術直後からTh10以下の感覚および運動神経麻痺を呈した症例を経験した. 術後の硬膜外造影で血腫は否定された. MRIおよび脊髄造影の所見から脊髄動静脈奇形 (arterio- venous malformation: AVM) と診断した. 胸髄完全麻痺のため, 外科的治療の適応がなく, 治療はメチルプレドニゾロンの大量投与とリハビリとなった. 2ヵ月後対麻痺が回復することはなく, 合併症の悪化により死亡した. あらかじめ無症候性の脊髄AVMを診断することは困難であるが, 硬膜外麻酔後に対麻痺が出現したときには留意すべき疾患の1つと考える.