抄録
麻酔科医として勤務しながら3度の帝王切開を経験し, その実体験と, 女性麻酔科医の可能性について考察した. 私の仕事に対する考え方は, 実際に手術を体験し, 子育てにかかわるようになってから変化した. 実体験と想像の間にはかけ離れた世界があることを知り, 他の手術を担当する際も患者の様子を注意深く観察し, 訴えに謙虚に耳を傾け, できるだけ不快感を取り除くことが重要だと考えるようになった. 若手の先生に対する指導の仕方も変わった. 女性は上記のような体験, 子育てにかかわる可能性が高く, それらの経験がよい麻酔管理につながり, 女性麻酔科医の利点と考えられる. 私自身もそのことを念頭にさまざまな恩に報いたい.