日本臨床麻酔学会誌
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講座
プロポフォール製剤の進化と臨床的な課題
岡崎 薫
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2008 年 28 巻 2 号 p. 301-309

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抄録

  プロポフォールに関する注目すべき留意点として, 注入時痛とpropofol infusion syndrome (PRIS) がある. 溶媒の違いが注入時痛に影響し, 中・長鎖脂肪乳剤プロポフォールではその痛みの程度と頻度が少なくなった. PRISはまれではあるものの致死性合併症である. 高用量プロポフォールの長期投与時に代謝性アシドーシス, 脂質異常症, 多臓器不全が進行し, 徐脈性不整脈, 心停止に至る. 乳酸アシドーシスやBrugada型心電図変化は前駆症状と考えられ, 認められたらただちにプロポフォール投与を中止する. 原因としてミトコンドリアにおける脂質代謝障害や, 遺伝子欠損症の関与が疑われている. 炭水化物の摂取不良に陥らないように解糖系代謝を正常に保ち, プロポフォールの過剰投与を避ける. PRISは麻酔科医が知っておくべき重大なトピックである.

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© 2008 日本臨床麻酔学会
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