2008 年 28 巻 3 号 p. 465-469
近年, 脳神経外科手術において, 病変が運動野や言語野に近接する症例では, それらを保持するために, 静脈麻酔を用いて覚醒下開頭腫瘍摘出術を行うことが主流となりつつある. 一方, てんかん焦点切除術に関しては, てんかん波誘発作用を有するセボフルランを用いた全身麻酔法が多く行われている. 今回われわれは, 運動野と言語野に病変が近接するてんかん合併脳腫瘍患者で, プロポフォールを用いた覚醒下開頭腫瘍摘出術とセボフルラン麻酔によるてんかん焦点切除術を一期的に受けた2症例を経験した. それぞれの術式において, 異なる麻酔方法や気道確保法を連続して行ったが, 種々の工夫により円滑で安全な麻酔管理を行うことができた.