抄録
「エホバの証人」 信者の宗教的理由による輸血拒否への医療従事者の対応には, いわゆる 「絶対的無輸血」 と 「相対的無輸血」 の立場がある. これまで 「エホバの証人」 信者の輸血拒否に関する訴訟は散見されるが, いずれの立場をとるべきかについては, 法令による規制はない. 自治医科大学附属病院は2007年8月30日より 「絶対的無輸血」 から 「相対的無輸血」 の立場をとることに変更した. 対応においては, 宗教的理由による輸血拒否を人格権として認めるとともに, 病院全体としての立場を明示し, 十分に説明した後に, 病院の立場を認めるかどうかについて, 宗教的圧迫にも配慮して自由に意思決定ができるようにすることが重要である.