2008 年 28 巻 7 号 p. 974-979
社会の危機管理に対処するために, リスクマネジメントという考え方が, キーワードとして広く検討されるようになってきた. 一方, 医療現場の安全管理向上は社会の要求として強まっており, 多くの研究と実践がなされるようになってきている. 国際規格 (ISO14971) には医療機器の設計段階にて, リスクマネジメントの考え方を取り込むことが定められている. このような考え方は病院内の業務にも応用され始めてきている. 医療現場で発生する大きな事故には, ヒューマンエラーの重なる連鎖現象が潜んでいることが多い. このヒューマンエラーの連鎖を断ち切るリスクマネジメントを進めることが, 病院内安全管理を確立していくうえで重要と思われる.