日本臨床麻酔学会誌
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第14回硬膜外麻酔研究会
硬膜外脊髄刺激療法の現状と適応
村川 和重森山 萬秀柳本 富士雄中野 範福永 智栄
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2009 年 29 巻 1 号 p. 85-92

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抄録

  硬膜外脊髄刺激療法 (SCS) の鎮痛作用は, 侵害受容には影響を及ぼさず, 神経障害性および虚血による痛みに有効である. また, SCSによる鎮痛作用が発揮されるには, 後索から神経根線維への逆行性の賦活化が必要であり, これらの神経伝導路が温存されていることが不可欠である. SCSが有効な神経障害性疼痛は, 末梢神経および神経根の病変であり, 外傷後, 糖尿病性, 神経根の引き抜きを伴わない神経叢損傷, PHNやFBSSなどの神経根障害などが原因となる場合である. SCSに伴う合併症の発現頻度は, 同様な有効性が想定される治療法のなかではきわめて低く, システムの除去により治療の中断が可能であり, 破壊的な手段に先んじて考慮すべき治療法と位置づけられる.

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© 2009 日本臨床麻酔学会
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