日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
Ehlers-Danlos syndrome患者における2回の周術期管理の経験
小寺 厚志瀧 賢一郎上妻 精二宮崎 直樹橋本 正博江崎 公明
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2010 年 30 巻 7 号 p. 1043-1049

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抄録

  症例は49歳,女性.幼少時にEhlers-Danlos syndrome(以下,EDS)と診断されていた.2年前に右閉鎖孔ヘルニアに対して全身麻酔下に緊急手術が施行され,今回,再発性右閉鎖孔ヘルニアによるイレウスに対して全身麻酔下に緊急手術が再び施行された.この2回の周術期管理で,(1)麻酔導入時の静脈の破綻,(2)挿管困難に対する気道の確保,(3)術中の出血を助長しうる血圧上昇への対応と鎮痛薬の選択,(4)慢性症状の術後における悪化などのさまざまな合併症や問題点を経験した.過去に提案されているEDS患者の周術期管理における注意事項を参考に,合併症や問題点に対する対策を考察した.

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© 2010 日本臨床麻酔学会
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