2010 年 30 巻 7 号 p. 1076-1079
日本においては,法医学をはじめ,法と医のインターフェース的な役割を担う領域が軽視されてきた.医療関連死にかかわるさまざまな問題も,そうしたことと無関係とはいえないだろう.医師が司法の介入でストレスを感じる場合,その対策としては,司法を排除する方法以外にも,司法の暴走を抑止し,適正な司法の実現に協力するという方策もありうる.現在,医師だけでなく,司法もミスを犯す存在であることは周知の事実となりつつあり,さまざまな司法制度改革も始まっている.そのなかで,医師,法曹ともに,法と医のインターフェース的役割の在り方を見つめなおし,適正な司法を実現するためには,医学鑑定がどうあるべきかなどを検討してもよいだろう.