日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
術前不顕性であった気胸の術中発症例
小寺 厚志上妻 精二石村 達拡宮崎 直樹瀧 賢一郎江崎 公明
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2011 年 31 巻 3 号 p. 463-467

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抄録

  67歳,女性.結腸切除術が予定され,手術の1週間前に右鎖骨下静脈に中心静脈カテーテルが挿入されたが,気胸などの合併症は生じなかった.麻酔管理は,亜酸化窒素とセボフルランによる全身麻酔に硬膜外麻酔を併用した.術中の循環動態に異常なく,呼吸状態も40%の酸素濃度下に酸素飽和度が97%前後で安定していた.覚醒良好で抜管したが,約5分後に酸素飽和度が89%まで低下した.胸部単純X線写真で右気胸と診断し,胸腔ドレーンが挿入された.鎖骨下静脈穿刺の合併症として全身麻酔時の陽圧換気や亜酸化窒素の使用を契機とした遅発性気胸の報告があるが,穿刺から1週間経過していても,その発症に留意する必要があると考えられた.

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© 2011 日本臨床麻酔学会
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