2012 年 32 巻 3 号 p. 395-401
人工股関節形成術(total hip arthroplasty:THA)の周術期合併症の一つとして脂肪塞栓症候群(fat embolism syndrome:FES)がある.脂肪塞栓症候群による脳梗塞は,発症時に重症であっても,迅速な対応・治療をすると症状は可逆的であることが多い.今回,人工股関節形成術後の脂肪塞栓による多発性脳梗塞に対し,早期診断と呼吸管理,およびヘパリン・シベレスタットナトリウム・エダラボンの併用療法によって良好な転帰をとった1例を経験したので報告する.