抄録
声門近傍を占拠する喉頭乳頭腫を発症した5歳男児の麻酔を経験した.喉頭乳頭腫は嗄声や呼吸困難などの症状出現時,声門を閉塞するほど巨大化していることが多く,しばしば呼吸管理や気道確保法に難渋する.本症例では手術5日前のファイバー所見から右側臥位,喉頭展開による気管挿管が可能と判断されたが,短期間での腫瘍の急速な増大によって手技変更を余儀なくされ,結果的に気管支ファイバー挿管によって気道確保し得た.本疾患は,進行や再発による繰り返しの手術が必要となる.毎回の手術前の入念な気道評価とそれに基づいた麻酔計画の立案が重要である.また,気道確保の際には耳鼻咽喉科医と密な連携を取り,周到な準備が求められる.