2013 年 33 巻 3 号 p. 421-427
ジブカイン/テーカイン合剤とブピバカインについて,脊髄くも膜下麻酔後の一過性神経症状(TNS)の発症頻度を前向きに比較検討した.対象はASA分類I,IIのジブカイン/テーカイン使用50症例,ブピバカイン使用50症例として,TNSの定義は脊髄くも膜下麻酔による運動・知覚神経の最大遮断作用からの回復過程以後に出現した臀部あるいは下肢の疼痛,しびれ感とした.結果はジブカイン/テーカイン使用の4症例(8%),ブピバカイン使用の5症例(10%)に症状を認めたが,有意差はなかった.ジブカインは高い神経毒性を有するが,ジブカイン/テーカイン合剤については,毒性が低いとされるブピバカインと比較してもTNSの発症頻度に差を認めなかった.