抄録
手術医療に対する安全性の確保は,患者および医療チームメンバーにとって重要な課題であり,手術に携わるチームメンバーは日々手術に関する安全管理について取り組んでいる.2009年にWHOは,手術室関係者が重要な安全ステップに従い患者の安全を確保することを目的に,「安全な手術のためのガイドライン」を提唱した.これを受けわが国においても「手術安全チェックリスト」を取り入れている状況であるが,WHOの推奨する「手術安全チェックリスト」を導入し定着させるためには,組織的な取り組みが必要である.そしてこの取り組みは手術にかかわるチームメンバーの安全面に関する意識の向上とコミュニケーションツールにつながるとしている.そこで本稿では,チームメンバーが共通認識を持ち取り組んだ当院の事例と,他病院で導入した事例などについて解説したい.またチェックリストを実施する実際の場面において,看護師が手術安全を担う推進的役割などについても学会の立場も踏まえながら述べたい.