2015 年 35 巻 1 号 p. 015-020
気管チューブ(ETT)をカフの上部に付けられた黒線の遠位端(声門マーカー)を指標に固定した場合の気管支挿管の発生頻度を,成人全身麻酔症例で後ろ向きに検討した.胸部X線写真で,気管支挿管は全体の1.4%(4/283人)に認めた.また,女性で有意に気管支挿管のリスクが高かった.この結果に関し,別の患者群のCT上の気管の長さ,使用したETTの先端から声門マーカーまでの距離(DM)をそれぞれ計測し検証した.声門マーカーをETT固定の目安にする際は,ETTの太さだけでなくDMを考慮してサイズの選択を行う必要がある.