2016 年 36 巻 3 号 p. 286-290
6カ月の男児.先天性高インスリン血症(focal type)に対し膵頭部切除術を行った.出生時血糖は24mg/dLで,出生直後から糖液投与が開始されたが,その後も低血糖出現など血糖管理に難渋し,糖投与の増量やインスリン分泌抑制薬の投与といった,厳密な血糖管理を必要とした.術中の糖投与速度・インスリン投与量は血糖測定により適宜調整し,低血糖・異常高血糖の出現はなく無事に手術を終えた.先天性高インスリン血症患児に対する手術では術中に血中インスリン濃度が大きく変化するため頻回の血糖測定と糖投与速度調節を必要とする.