2016 年 36 巻 5 号 p. 523-527
MECP2重複症候群の脳梁離断術における麻酔を経験したので,報告する.症例は5歳の男児で,胎児期から子宮内発育遅延,小頭症を指摘されておりMECP2重複症候群と診断された.3歳時に全身のミオクロニー発作が出現し,抗てんかん薬の内服加療を行ったがコントロール困難であったため,脳梁離断術が行われた.術後,TOFR 70%の時点でスガマデクスを投与したが,TOFR 100%になるまで約10分を要した.抜管後は喉頭浮腫が疑われヒドロコルチゾンを投与した.MECP2重複症候群は非常にまれな疾患ではあるが,筋弛緩の遷延および周術期の気道トラブルに注意する必要がある.