2016 年 36 巻 5 号 p. 620-622
わが国でも心不全患者が増加の一途をたどっている.われわれは,不全心に対するデスフルランの影響を熟知しておく必要がある.心不全患者は,ポンプ機能の低下に加え,β受容体の感受性低下により,交感神経刺激に対する反応性も低下している.正常心に比べ不全心では,デスフルラン投与により血圧や心拍出量が大きく低下する.一方,デスフルランは不全心に対しても心筋保護効果を持つ可能性がある.デスフルランをはじめとした吸入麻酔薬が有用であるかもしれない.しかし,不全心は循環作動薬や麻酔薬に対する反応が正常心とは大きく異なることに留意し,慎重に麻酔管理するべきである.