日本臨床麻酔学会誌
Online ISSN : 1349-9149
Print ISSN : 0285-4945
ISSN-L : 0285-4945
日本臨床麻酔学会第35回大会 シンポジウム ─最先端心臓血管外科手術の麻酔管理─
左室補助人工心臓植込術の麻酔
清野 雄介
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 36 巻 7 号 p. 687-695

詳細
抄録

左室補助人工心臓(LVAD)植込術の適応となる重症心不全の患者は,循環の予備能が低いために前負荷や後負荷の変動に追従することが難しい.加えて心不全による低心拍出と肝腎機能の低下が薬効や薬物動態に影響するために,麻酔薬などのタイトレーションを慎重に行い心抑制と急激な前負荷や後負荷の変化を避ける必要がある.LVAD植込後にLVADからの拍出を保つためには,循環血液量を適切に保つこと,右室の機能を維持すること,右室の後負荷である肺血管抵抗を上昇させないこと,左室が虚脱しないようなポンプ設定を行うことが重要である.このような重症心不全患者の病態生理やLVADの特性を理解し,麻酔管理を行う必要がある.

著者関連情報
© 2016 日本臨床麻酔学会
前の記事 次の記事
feedback
Top